安物エレアコで録音を追求してみた

今回、入門用の安いエレアコをレコーディングに使えないか、手元の機材で試行錯誤してみました。

はじめに

高校生の時に買ったエレアコを引っ張り出してきました。

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多分これ:製品情報 ー EAW200/N(生産終了) | 株式会社キョーリツコーポレーション

高校の文化祭で大失態*1を犯してからは、思い出した時にたまに触るくらいでした。

ですが、よく考えると録音機材をグレードアップしてからレコーディングを試したことが一度もありませんでした。なので手元にある機材で本気を出すとどこまで使えるのか試してみることにしました。

アコギの音の拾い方

アコギで音を拾う方法は主に3種類あります。

1つ目はピエゾピックアップです圧電素子という弦の圧力を電気信号に変える部品をブリッジに仕込んで音を録ります。アコギっぽいですがプリプリした独特な音がします。安い入門用エレアコはピエゾのみを搭載していることが多いです。

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ブリッジの白い部分にピエゾ素子が入っています。

2つ目にマイクを使う方法です。アコギの音をボーカルなどと同様にマイクで録音します。一般のマイクを当てる方法のほかに、アコギのような弦楽器のための小さなピンマイクを使う方法もあります。

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一般に残響なども含む聞いたままに近い音が録れますが、「静粛な場所でないとノイズが入る」とか「マイクや部屋の特性に音が左右される」といった欠点もあります。

3つ目にエレクトリックピックアップを使う方法ですエレキギターと同じ仕組みで電磁的に弦の振動を電気信号に変換します。

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仕組みが同じなのでエレキギターに近い音が録れますが、反面アコギらしい高音部分は落ちてしまうという欠点があります。

(持ってないので今回は使ってません。)

また、これらは別にどれか一つに限る必要はなく、複数使ってブレンドすることもできます。ただしその場合は同時に一気に録る必要があり、その分録音チャネルも必要です。

そのまま録音してみた

まずは普通にシールドをオーディオインターフェース(High-Z)で録音してみました。

確かにアコギっぽい音です。ライブで使うには申し分ないでしょう。ですがピエゾに独特なプリプリした音がして、打ち込みには物足りない気がします。

安いピンマイクを使う

iRigのようなアコギ用のピックアップも売っていますが、今回はアコギ本体と同じくらいするのでコスパ的に買えません。

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そこで代用できる何かがないか探したところ、音鉄やビデオ会議で使っているオーディオテクニカの安いコンデンサーピンマイクがありました。

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このマイクAT9904はなかなか秀逸で、コンデンサマイクなのに3000円台で手に入ります。Zoom H1nとセットで使っています。

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そんなAT9904ですが癖もあります。コンデンサマイクということは電源が必要になります。「プラグインパワー」方式と呼ばれるステレオジャックから電源も供給する規格があるようですが、癖のある実装になっているようで少なくとも「標準プラグに変換してオーディオIFに差す」みたいな単純な方法ではうまくいきません。

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ピエゾの音と同時に録音するためには同時に録れる形で接続する必要があります。ですが僕の使っているClarettのようなオーディオIFには簡単につながりそうもありません。

H1nをオーディオIFとして使うというアイディアも思い浮かびました。ですがASIOはデバイスに排他的なので、ClarettとH1nをオーディオIFとして同時に使うことはできません。Calkwalkではどれかを選択するとほかのASIOデバイスはグレーアウトして選択できなくなります。

そこで、H1nをプリアンプとして使い、H1nのアナログアウトプットのうちLをClarettに送ることにしました。AT9904で音声はステレオとして出力されますが、左右同じ音を録っているのでLRのどちらかを拾えば十分です。

録音2:マイクAT9904

コンデンサマイクなので悪くない音です。ですが少し音がこもっています。

録音3:ピエゾ+AT9904

ここからが一番やりたかったものです。ピエゾとマイクをブレンドして使ってみます。

いかがでしょう。結構いい感じだと思いませんか!?ピエゾの高音域とマイク録りした空気感の部分がうまくマッチしています。1万円のギターと考えると十分だと思います。

また2ch独立に録っておけば、あとでミックスの時にバランスを替えたりそれぞれにEQをかけたり微調整することもできます。

まとめ

今回は安いエレアコとピンマイク(とプリアンプ)でどこまでいい音が録れるか試してみました。

高いアコギの場合はもっと本格的なマイクやピックアップを使うほうが良いですが、安いエレアコでも工夫すれば十分使えることがわかりました。宅録で安いエレアコのピエゾの音を聞いて「なんかちがう...」と思った方はマイク録音も試してみてはいかがでしょうか。

おまけ

これからはshort動画から解説動画までいろいろ投稿しようと思っています。ぜひチャンネル登録してください!お願いします!

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最後に、下の再生ボタンを押してください!

*1:意気揚々と弾き語りライブで参加するも、掛け持ちしていたバンドが忙しくて練習をろくすっぽせず、歌詞がほぼ全部飛んでライブが成立していなかった。若さゆえの過ちとして許してください。